『ふむふむ』
三浦しをん 著
新潮文庫※以降、ネタバレを含むかもしれないのでご注意ください。
本著は、三浦しをんさんが靴職人、観光地のお土産屋、動物園飼育係、フィギュア企画開発…などの多種にわたるちょっと特殊な仕事をしている16人の女性にインタビューして、それぞれの人生を切り取って見せた”ふむふむ”な一冊です。”仕事との向き合い方”には、その人の人となり(価値観とか、周囲の人間との付き合い方とか)
がよく表れます。
「女性ならではの目線で、女性の仕事との向き合い方を切り取っていく」なんて、
手垢まみれの謳い文句なのだけど、この本がまさにそういった類の
ものでありながら”ふむふむ”と読めてしまうのは、短い文章の中で
16人の女性の生き様、人生哲学のようなものを見せてくれるからなのでしょう。
被インタビュアーの女性たちは、三浦さんの質問のうまさもあるのでしょうが、
ズバッと鋭い質問を受け止め、返すことができるしっかりした考えを持っています。
夢をかなえて仕事をしている、キラキラした人間に感じられます。
だからこそ、読んでいてちょっとツラいこともあります(!)w
斜に構えた見方をすれば、女性にとっては仕事もアクセサリーの一部、
そんな風に考えていると見ることもできそうだなと、ふと思いました。
身に付けている宝石、一緒にいる伴侶を自慢するのと同じように、
好きなことを仕事にしているのを自慢したい…
女性コミュニティ特有の火花散るやりとりが、三浦さんと被インタビュアーの間に
あったのかなとちょっと想像しましたw
(自分がこう聞かれたらどう答えるかな?)
そんなことを考えながら読むのもまた一興。たまには自分の仕事に対する思いなんかを
整理してみると、原点に立ち返ったり、成長に気付いたりできるかもしれませんしね。
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