『ザ・万字固め』万城目学 著文春文庫※以降、ネタバレを含むかもしれないのでご注意ください(エッセイだけど)。
小説のみならず、ドラマに映画に、独特の世界観が面白い奇才マキメの、瓢箪に並々ならぬ愛情を注いだり、志賀直哉に倣って(?)城崎温泉で蟹三昧したり、東日本大震災直後の東電株主総会に出かけたり、とにかく歩き回って発想を膨らませる、その発想方法の一端が垣間見えるかもしれないエッセイ集。「その作家が好きなら、この作家はどう?」
読書好きにとって、自分の世界を広げるきっかけになるかもしれない
上記のような作家紹介はとても嬉しい瞬間です。今回ご紹介いただいた
万城目さんの小説自体はまだ読んだことがないのですが、映画『プリンセス・トヨトミ』を見て
(何ちゅー発想力だ!)と驚いたことを今でも覚えていますし、
『鹿男あをによし』『鴨川ホルモー』など、半ひきこもりの私でも耳にしたことのある
タイトルがずらっと並ぶ人気の作家さんです。
#因みに以降では愛称?の”マキメ”と表記します。
#何だか”マキナ(機械人形)”の名折れ(誰うま)みたいでちょっと間抜けな感じが
#可愛いし、読み方が分からなくて(ま…まんじょうめ?)と思った方は
#私だけではないでしょうし(/ω\)
どういった因果かまいねの場合、
(あ、こないだ紹介してもらった作家さんだ!…このタイトルは何だか面白そうだな)
と思って最初に手に取る作品はエッセイのことが多いです。確率は6割前後。
こんな時ほんのりと、定食のメインを差し置いてつい小鉢から箸をつけてしまったような
バツの悪さを感じつつも、これから迎えるメインに対する期待がぐっと高まるのも感じます。
歌手にとってのトークと歌のように、作家にとってのエッセイと小説(など)は
すごくギャップがあることも多いですが、マキメさんの場合は
あまりギャップがないタイプではないかという印象を受けました。
エッセイを読んでいて、丁寧に歩き回って色んなものを見て、それぞれの土地の
風景、気候、風俗、匂い等と言ったものをしっかり感じてそこから発想を膨らませるため、
一見ムチャクチャに思える設定の中にそれらがしっかり活きていて、
”突拍子もないが、一般的なイメージから逸脱しすぎてもいない”という、
非常に心地良いセンを突くことに長けていそうだなと思ったからです。
例えば本著の中で思わず吹いてしまったのが、”戦国武将がサッカー日本代表だったら”
という妄想の話の中の<ゴールキーパーは松永久秀>というもの。
彼が織田信長に攻められ絶体絶命のピンチというとき、
「それを渡せば命は助けてやろう」
と言わしめるほどのお宝、平蜘蛛釜というものを持っていたのですが、
ついにはそれを渡すことなく、それどころか釜をしっかり懐に抱いて爆弾で爆死する(!)
という、インパクトありすぎなエピソードがあるのですが、これになぞらえて
捕らえたボールをしっかり胸に抱く姿がゴールキーパーにふさわしいと言うのです。
…どうしてくれるんだ、松永さんがキーパーにしか見えなくなったじゃないか!ww
#そして多分、センターフォワードの織田信長にはパスを出さないんだよなw
まぁこのように、一見突拍子もない設定でも(ああ、何か分かる!)と思わせる
パワーがあります。マキメ≒マキナで人形なだけに、
無理も通すがドールも通る
ってところですが私のシュートは遠く枠外に飛んで行ったようです(゜-゜)
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