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まいねじゃ!

青森出身岡山県民「まいね」のシングルライフ。

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【読書】橋本治『黄金夜界』


『黄金夜界』
橋本治 著(2019年7月10日初版)
中央公論新社

※以降、ネタバレを含むかもしれませんのでご注意ください。



知的でクールな美青年・貫一と、実年齢とはかけ離れた美しさを持つ美少女・美也は、
貫一の父の死をきっかけに、その親友であった美也の父、
鴫沢隆三に引き取られたことにより出会った事実上の義理の兄妹。
どこか惹かれあいながらも
母親の警戒もあり、あくまで”兄妹”に徹していた二人であったが、
ある夜一線を越えてしまう。
その後何度も愛情を確かめ合い、将来は結婚をと誓ったものの、両親から
「せめて大学を卒業した後で」
と言われ、時の経つのを待っているうちに美也は他の婚約者を見繕われ、結婚してしまう。
突然の失恋、将来の展望も断たれた貫一は東大を中退し、ホームレス同然となる・・・

尾崎紅葉『金色夜叉』を下敷きにした、悲しみに満ちた愛の物語!




いきなり本題とは関係ないんですけど(!)、2019年夏アニメで一番好きだった
『荒ぶる季節の乙女たちよ。』が完結しました。
文学少年(と自分で言うのは憚られるけど)だったこともあって、
文学好きが主人公の恋物語とか大好物なんですけど、いや~…キュンキュンした(爆)ww
曾根崎さんが告白を受け容れるシーンとか、画面の前でボロボロ泣きながら
「良かったなぁ…良かったなぁ!」
って、ホント気持ち悪いアラフォーやなww

閑話休題。

そんな甘酸っぱい恋愛とは真逆の本作品。久々の橋本治(昨年亡くなってたんですね…合掌)
作品に接したキッカケは、このカバーイラスト。
顔を上向きにし、目元を髪の毛で隠した美女の絵が、悲しみを抱えていることを直感させ、
ほぼジャケ買いに近い感じでした( *´艸`)<電子書籍には(多分)ない出会い方かな?

あらすじで触れているように、”愛”が主軸となっている作品ですが、
もう一つ”働くこと”も大きなテーマとなっています。
基本的には美也も貫一も、それなりに裕福な家庭に育ち、何不自由なく暮らしてきました。
その中で恐らく美也は((親の脛をかじってばかりの生活から)抜け出し自立したい)と考え、
貫一は(こういった生活がいつまでも続く)と考えていたのでしょう。
貫一の元から美也が去り、将来の仕事(美也の父親のレストランを継ぐ)を
保証する後ろ盾が消え、一度はホームレス同然となるわけですが、
そのときには最低賃金という概念すらも知らない世間知らずでもありました。
心の傷と向き合うことを恐れるように、誰かを(誰を?)見返してやるために…
ほんのわずかでも蓄えがあることによる安堵、口に糊するためだけの食事でも満たされる飢え、
貧しい者からも搾取を止めない社会の仕組み、優しくしてくれる周囲に対しての疑い…
様々なことを知りながら、ただがむしゃらに働き続ける貫一。

決して、貫一は”幸せ”ではないと思うんです。
でも、まるで赤ん坊の様に新鮮な驚きと共に、社会人生活を営んでいるように見え、
(ちょっとうらやましいな)と思うと同時に、色々知ってしまった今の自分は、
(仕事・周囲の人間に不平不満を抱えてばかりだ…)と、悔しくて情けなくて
泣けてきちゃいました。…とはいえ、決してまいねが”不幸”ってわけでもないんでしょうけど。

人物の行動の理由、動機が明確に示されて、ちょっと説明過多かなと思うところもありますが
(このニュアンスが難しいのよね…)、深く考え込むことも作者の意図との齟齬もなく、
このドロドロ悲恋の世界に没入でき(!?)、
衝撃のラストまでページを繰る手が止まらない一冊ですよ!

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プロフィール

HN:
まいね
性別:
男性
趣味:
食べ歩き、コーヒー、ギター、      自転車旅、ボードゲームなど
自己紹介:
「まいね」とは、青森の津軽弁で
「ダメ」という意味。
怒られていても怒られている気がしない、
ダメなのに、ダメな気がしない・・・
そんな錯覚を起こさせる柔らかい語感がステキです。