『不思議旅行』水木しげる 著中公文庫※以降、ネタバレを含むかもしれませんのでご注意ください。
昨年惜しまれつつも旅立った妖怪漫画の大御所、水木しげるの体験談を中心にした不思議なお話22篇。
・・・気付けば、あなたの後ろに・・・これまで人気アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』や、いくつかのエッセイなどで断片的に触れてきた
水木さんの作品ですが、ガッツリ一冊読んでみるのはこれが初めてかも。
揃いも揃った不思議な話が22篇。
まるで”不思議が水木さんに引き寄せられている”かのように見えてしまいますが、
この本を読んで思ったのは「水木さんは赤ちゃんみたい」ということ。
何でも口に入れてしまう悪食なんかにも現れているように思いますし(w)、
戦争を生き延びたりなど、死線を何度も潜り抜けてきて、
死生についての視線が常人とは少し違うのもあるかもしれませんが、
私たちが大人になるにつれて”当たり前”と割り切ってしまう世界に、
一々新鮮な驚きをもって接しているような感じがしました。
「よく考えてみればこれって不思議じゃない?…あの妖怪の仕業みたいだよね」
不思議な体験について名前、形を与える。そんなスタンスで語られる御大のお話は
まさに妖怪話の原初と言って良いでしょう。面白くないわけがありません!
飲み屋にこんなおっちゃんおったら、一杯おごってでも話を聴きたいくらいですw
時に意外な気付きを与え、時に背筋が凍り、時に胸が温かくなる、
この一冊でそんな小旅行が楽しめちゃいますよ(*´ω`*)
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