ザワクラ作りに失敗して夜中にひどい目に遭い、それでもどうにか落ち着いた身体で、
雨を避けつつ買い物を済ませようと思って表町商店街へ向かい、
ブラブラ(ふらふら)したときの脳内がちょっと面白かったので書き留めてみるという
誰得でチラ裏なメモ。
<天の国は近し、耳遠し>
歩いていたらちょっと熱が出てきたのか、ふらふらしつつ商店街を歩いていると
周囲の音が少し遠くから聞こえる感覚になり、
ふと天を仰げばアーケードにはめ込まれたステンドグラスが目に入る。
(『フランダースの犬』のネロも死ぬ間際はこんな感じだったのかね?
…あれ、”ネロ”だっけ?”メロ”だっけ?)
とか思いつつゆっくり歩き、
(あ、メロは
変なラップの人だった)
と思い出して、色んな意味で「ガンガンズンズングイグイ上昇」しそうになる。
<知らぬ本を買うときの>
しゃばけシリーズの続きを買うべく、丸善さんへ。
お目当ての本+αを見つけてホクホクしつつ、余韻に任せて棚を眺めていると、
”気になる本を最近見つけたんだけど作者も出版社も思い出せない”状態の女の子と、
それに付き合って一緒に探す男の子が、会話をしつつ店内をウロウロしている。
(ああ、困るよねそういう時)
と思いつつ眺めていると、
「表紙が濃い青色でね…何か星空みたいなのが描いてあって」
「ふんふん」
「中身は…何か狂気に満ちた感じの」
「えっ、それ系!?」
傍から聞いても、恐らく当人たちも意味が全く伝わらない会話の内容。
でも案外こういうイメージを絵にしたときに、偉大な芸術は生まれるのかもと
うっすら思った。
<ロマンスに乗って>
唐突だけど自転車に乗っている方。自分の自転車の名前を知っているだろうか?
私もそうだし案外気にも留めないと思う方が多いと勝手に思うのだけど、
ちょっと意識してみると実はすごく面白いことが起こりうることに今日気が付いた。
因みに私の自転車は”SOUTHERN PORT”、南の港。(で、何?)という反応しかできない。
商店街を歩いていて、目の前をゆっくり自転車で通り過ぎたおばあさん。
彼女の自転車の名前は”romance”。
「ロマンスに乗ってババアが走る…」
とつぶやいてみたら、じわじわ来た。
<天の底のその下で>
”暑くなると、ケニアの酸味が恋しくて”
って、何だか小説の書き出しにありそうだな。
まぁそれはさておき、暑くなってくるとケニアのコーヒーのカラッとした酸味が美味しいので
ヘビロテしているのだけど、今日も今日とて
吉備の国珈琲焙煎所にてケニアを注文し、
焙煎が終わるまでしばし待つ。
「雨、降りそうですね」
お店の方が中国銀行本店越しの、重そうな雲を眺めながら私に声をかける。
「さっきまで降ってたんですけど、今は止んでるみたいですね」
一緒に空を眺めながら、答える。ふと
(あ、自分のお腹の状態と一緒だ)
と思ってしまい、頭の中で世にも汚い絵面が展開されたので、考えることをやめた。
私のために焙煎されている珈琲豆が、
ロースターの中でゆっくりと芳香を醸し出し始めた。
<ここにいるはずだった君はいない>
さてそろそろ帰ろうかという頃、以前から気になっていた看板が目に飛び込んでくる。
”ぱん”。
その語感が私の中で、酵母により発酵した泡のように膨らんではじけた。
NATIONAL DEPARTMENT STOREは、ドイツパンやグランパーニュを扱う
ちょっとマニアックなパン屋さん。
グランパーニュは5Kg以上もある大きなパンで、1個を100人で分け合えるという。
”あなたが食べる一片のパン、その隣り合った一片は、
あなたの知らない誰かが知らないどこかで食べている”
-パッケージの文言より抜粋
という言葉が、お一人様の心をくすぐる。
「鶏ハムと一緒に食べるんですか?それは素敵ですね!
焼くときは霧吹きをして(無ければ手でパッパッと水をかけて)、焦げる寸前くらいまで
カリッと焼いて下さい。お酒はワインなんかがすごく合いますよ(´▽`)」
美味しく食べるためのアドバイスを色々くれたお店のお姉さん、
パンに対する深い愛情が感じられた。
開口一番”ご飯派ですけどね"と言ってしまった自分を殴りたい。
早速家に帰って、ドイツパン、スライスオニオン、鶏ハムでオープンサンドにしてみた。
”サクッ”どころか”ガリッ”という感じのハードなドイツパンは、酸味がかなり効いた
好き嫌いの分かれる味だけど、穀物と発酵をしっかり感じる香りが良くて、すごく美味しい。
こんなに薄い3切れなのに、しっかり噛みしめて食べるのでこれで満腹になった。
お供はカナディアンクラブという、安ウィスキーの代表選手みたいなやつ。
一言で言えば”昼間っから酒飲んでる”だけなのに、素朴なおつまみとお酒で
こんなに特別な休日を過ごしている気分になるのだから、”ニュアンス”というやつは
非常に恐ろしく愛おしい。
本当は、ここにザワクラもある予定だった。
でも、それがなくなっても私は生きているし、新しく出会いもあった。
”良いじゃんそれで”と開き直ったら君は怒るだろうか。
まぁでも傷ついたのはお互いさま。
また会える日を、楽しみにしております。
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