『おせん』(初版:昭和60年9月)池波正太郎 著新潮文庫※以降、ネタバレを含むかもしれないのでご注意ください。
娼家から身請けされ、今は囲われの身であるおせんと、かつてのなじみ客であり強請りの罪で島流しにされた男の母親との、心の交流を描く表題作『おせん』をはじめ、ちょっと残酷で、輝くほど生き生きした、池波が描く13編の女主人公の世界をどうぞ!(男主人公のものでも)池波作品に出てくる女性は非常に魅力的な人が多いのだけど、
女性を主人公として、男を若干だめんずに描くことで(w)、
より鮮烈に女性の魅力を引き出した印象があります。
割と性にまつわるエピソードが多く、不倫なども当たり前のように出てきますが、
「”これ”という男と幸せに添い遂げたい」という、女性のシンプルな欲望が
その根底にあるような気がして、(これほどまでに想われてみたい)と思うし、
そんな主人公たちがたまらなく魅力的に見えてくるんですよね。
涙あり、笑いあり、ちょっとムフフありでエンタテインメント性満点!
文句なしに面白い一冊です。
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